大型の商業施設などに行くと、防火扉が設置されているのを見かけることがあります。
これは、火災時に特に煙の広がりを抑制する働きを持っています。
火災時には炎自体もちろん怖いもので、それにより焼死することもあるわけですが、一般的には有害物質を多量に含むガスである煙のほうが広がり方が早く、炎よりも先にこちらに巻き込まれることで呼吸困難を起こして死に至ることのほうが多いとされています。
防火扉は、火事の際に閉まることでこのようなガスが広まるのを遅らせ、その間に人が安全な場所まで避難するための時間を稼いでくれるのです。
このような扉は、いざという時にしっかりと閉まってくれないと意味がありません。
何らかの物品などが置かれていて邪魔になり、しっかり閉まらないとなると救える命も救えなくなるわけです。
なお、閉鎖されてしまうと内側にいる人は外に出られなくなるのではないかと心配する人がいるかもしれませんが、人の手で簡単に開けることができますのでその心配はいりません。
近年は高層ビルやマンションなどの巨大な建築物も至るところにみられるようになりましたが、もしもこのような施設で不注意により火災が発生した場合には、中にいる人は命の危険にさらされてしまいます。
不注意による失火ではなかったにしても、阪神淡路大震災や東日本大震災のような自然災害に連動した火災がふいに発生することは十分に考えられます。
防火扉はこのような火災があった場合に、火炎の延焼や煙などが隣の区画にまで広がることを防止する機能を有しています。
防火扉で火炎や煙を有効にシャットアウトすることができれば、憤然な場所まで避難する余裕が生まれ、たいせつな人命を守ることができます。
このような防火扉にはいくつかのタイプがあり、ふだんから閉じているものもありますが、ふだんは開いて人が自由に行き来できるようになっており、火災が発生したときだけその熱を感知して扉が閉まるようなしかけになっているものも多く存在しています。